債務整理コラム

2022/11/08 債務整理コラム

積立用口座について

大阪地裁の運用では、個人再生の申立人(再生債務者)は、毎月一定の金額を積立て専用の銀行口座(又は代理人弁護士の預り金口座)に積み立てることを求められます。この積立ての趣旨、注意事項等について、ご説明します。

個人再生は破産と異なり、裁判所での手続きが終わった後に再生計画に基づく弁済を行うことが予定されています。そのため、再生計画案の認可にあたっては、再生計画に基づく弁済を履行する見通しがあるかどうかが、再生計画案の適否を判断するために検討されることになります。
「積立て」は、この再生計画を履行できる見込みの有無・程度を裁判所が判断するための材料として求められるものです。

上記の趣旨を踏まえ、裁判所(大阪地裁)は、①積立専用の口座(又は代理人弁護士の預り金口座)に、②毎月、③計画弁済予定額の1か月分以上の金額を積み立て、④途中で出金しないことを求めています(川畑正文他編『はい6民です お答えします』555頁)。

当事務所の場合、①口座については、原則として、ご本人に新たに口座を開設することをお願いしています。
③については、申立準備を始めた段階では再生計画に基づく弁済額の1か月分がいくらになるかは不透明ですから、弁済額の想定を前提としつつ、ご本人が積立て可能な範囲で少し余裕を見た金額をご本人と相談して決めています。

とくに留意が必要なのは④で、せっかく積立てをしても、途中で引出しをしてしまうと、結局、積立額相当の余剰を毎月確保することができない状態にあることが推測され、再生計画の履行可能性に疑問符が付いてしまいます。したがって、いったん入金した積立額は、手続き途中では決して引き出さないようにしなければなりません。

もちろん、再生計画が認可された後は、積立用口座に積み立てたお金をどう使うかは自由です。再生計画に基づく弁済に充てることも可能です。