債務整理コラム

2022/11/11 債務整理コラム

確定拠出年金、確定給付年金について

勤務先の会社が退職金に代えて、又は退職金とともに、確定拠出年金又は確定給付年金の制度を導入している場合、保有する財産として将来の年金受給権が存在することになります。
そうすると、個人再生の申立てにあたり、これも退職金と同様、最低弁済額の計算にあたり、債務者の保有財産の額(清算価値)に算入する必要があるのでしょうか。

その必要はありません。確定拠出年金及び確定給付年金の給付を受ける権利は、法律上、差押禁止財産とされています(確定拠出年金法32条1項、確定給付企業年金法34条1項)。

差押禁止財産は、もともと債権者が債権の引当てとして期待することができない財産です。したがって、これを最低弁済額の基準としての債務者の保有財産から除外したとしても、「再生債権者の一般の利益に反する」(民事再生法174条2項4号)とはいえません。
そこで、差押禁止財産については、最低弁済額の計算にあたって債務者の保有財産として計上しなくてよいものとされています。

すなわち、確定拠出年金及び確定給付年金のいずれも、最低弁済額の計算にあたって債務者の保有財産に計上する必要はありません。
この点、会社が支給する退職金については、その時点で自主退職した場合に支給される額を退職金規程に基づいて計算し、原則としてその8分の1相当額を計上することとされている(大阪地裁の場合)のと異なりますので、注意が必要です。