債務整理コラム

2022/11/13 債務整理コラム

再生計画案における弁済間隔と第1回の弁済日

個人再生手続きで再生計画案を策定する際に、弁済を毎月の支払いとすることは必ずしも必要ありません。3か月又は2か月に1回の支払いとすることも認められています(民事再生法229条2項1号)。振込手数料は、再生債務者の負担ですので、振込手数料を節約する観点からは3か月に1回の支払いとすることが得策ということになります。

もちろん、その場合、1回あたりの支払額が毎月払いの場合の3倍になります。それだと管理が難しい、あるいは、支払資金を除けておくことが煩わしい、といった理由で、毎月払いを選択される方もあります。当職が再生計画案を作成する際には、必ずご本人の希望を伺って弁済間隔を選択するようにしています。

ところで、弁済間隔を3か月に1回とした場合、第1回の弁済日はいつにすればよいのでしょうか。

民事再生法に、この点について直接規定した条文は、ありません。
しかし、再生計画に基づく最終の弁済期は、原則として再生計画認可決定確定の日から「3年後の日が属する月中の日」とされ、「特別の事情がある場合」に(5年を超えない範囲で)より遅い日とすることが認められているものの、より早い日とすることは許容されていません(同法229条2項2号)。

そうすると、3年の弁済計画とする場合の第1回の弁済日は自ずと決まりそうです。第1回の弁済日を「認可決定確定日から3か月後の月中の日」(例えば月末)に設定すれば、それから3か月毎に計36回弁済する最終の弁済日がちょうど認可決定確定日から「3年後の日が属する月中の日」になるからです。

ところが、第1回弁済日を「認可決定確定日から3か月後の月中の日」に設定すると、認可決定が確定するのは認可決定が出てから早くても翌月、場合によっては翌々月なので、第1回弁済が認可決定の4~5か月後となってしまいます。そうすると、3か月に1回以上の弁済とすることを求めている法の規定(同法229条2項1号)に抵触するのではないか、という疑義が生じてきます。

実際問題としても、債権者の立場からすると、再生計画の認可決定が出ているのに、4~5か月もの間、弁済が始まらずに放置されるというのは、容認し難いと感じるところでしょう。
また、大阪地裁の運用のように、再生債務者に対して毎月、弁済予定額の積立てを求めている場合、認可決定が出るころには少なくとも2~3か月分は既に積み立てていることが一般的であり、認可決定確定の翌月に3か月分を支払うこととなっても支障は無いはずです。

そこで、大阪地裁の現在の運用では、裁判所は、3か月に1回の弁済であっても認可決定確定日から1か月又は2か月後の日が属する月中に第1回の弁済日を設定するよう促しています。民事再生法229条2項2号の規定に反しないのか疑問がなくはありませんが、債務者にとっても無理のない範囲で再生計画の履行が早く終わって債務の負担から解放されることには利益がありますので、とくに異議を述べて争う必要は無い運用だと思っています。