債務整理コラム

2022/11/03 債務整理コラム

ペーパーレス口座と個人再生/破産の申立て

個人再生にせよ、破産にせよ、申立てにあたって、申立人の財産に関する資料を裁判所に提出する必要があります。中でも預金口座に関する資料は必須です。保有するすべての預金口座の資料を出す必要があります。
この点で最近増えてきて少々困ることがあるのが、ペーパーレスで元から預金通帳がない口座の場合です。

預金口座について申立時に提出を要する資料は、申立前2週間以内に記帳した預金通帳の写しとされています(大阪地裁の場合)。当職の場合、依頼者から預金通帳をお持ちいただく際には、なるべくその日に記帳して、その日の日付を印字してお持ちいただくようにお願いしています。
しかし、1回の打合せで申立準備が整うことはまずありませんので、打合せを重ね、申立準備を進めるうちに2週間など、あっという間に過ぎてしまうのが通常です。

2週間を過ぎてしまった場合、預金通帳をお預かりしていれば、こちらで通帳を記帳し、追加の印字があった頁を差し替えれば、それで資料の不備はなくなります。
ところが、ペーパーレスで通帳をお預かりできない場合、2週間を過ぎてしまえば、ご本人に改めて直近の取引履歴をプリントしてお持ちいただく必要が出てきてしまいます。場合によっては二度、三度と資料の追加をしていただいて差し替えることになり、ご自身にとってはもちろん、弁護士にとっても煩わしいことになります。

加えて、ネット上で履歴を確認できる期間より古い履歴が必要となった場合には、銀行に申請し、手数料を支払って取り寄せる必要があるという不便もあります。

銀行にとっては、通帳発行にかかる印紙税を節約できるというメリットがあることなどからペーパーレス化を積極的に推進しているようですが、預金者側の利便性、とくに簡便に過去の取引履歴を確認できる預金通帳の証拠資料としての価値を考えると、ペーパーレス化にはデメリットが大きいように思います。銀行のキャンペーンで多少のメリットを提示されたとしてもペーパーレス化に安易に応じることは避け、慎重に検討することをお勧めします。