2026/03/27 債務整理コラム
個人再生手続きにおける非免責債権の扱い
法律上、個人再生手続きでは、再生債権に該当する債権であっても、再生計画の認可決定確定により減額されないものとされている債権があります。すなわち、「再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」、「再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」及び扶養義務等にかかる請求権が個人再生手続上、非免責債権(非減免債権)とされ、再生計画の認可決定が確定しても債権額に変更を生じないものとされています(民事再生法229条3項)。
この非免責債権の個人再生手続上の取扱いについて整理しておきましょう。
まず、非免責債権に該当する債権も、そのことによって再生債権から除外されるものではありません。非免責債権に該当する債権であっても、再生債権に該当する以上は、手続開始要件の5000万円要件や最低弁済額算定上の再生債権総額に算入されますし、債権者一覧表にも計上する必要があります。
開始決定後は、手続き外で弁済することが禁止されること(同法85条1項)も他の再生債権と同様です。
債権額について確定する手続きについても他の再生債権と異なるものではなく、ある再生債権が非免責債権であるか否かについて、再生手続内で判定する仕組みはありません。ある再生債権が非免責債権に該当するか否かについて争いがあって決着を付ける必要がある場合には、別途、訴訟で争うことが必要になります(想定される訴訟の形態については後述します。)。
再生計画の認可決定が確定した後は、非免責債権についても他の再生債権と同様、再生計画に定められた一般的基準に従って弁済されることになります。もっとも、非免責債権である以上、債権額に変更は生じていないので、再生計画に定められた一般的基準に従った弁済を終えても、債権を完済したことにはなりません。残額については、「再生計画で定められた弁済期間が満了する時」に弁済するものとされています(同法232条4項)。つまり、非免責債権について再生債務者は、再生計画に基づく最終の弁済期に残額を一括で返済する必要がある、ということです。
債権者は非免責債権であることを主張し、再生債務者はこれに異議がある場合には、どのような進行となることが想定されるでしょうか。
上述のとおり、再生手続内で非免責債権に該当するか否かを判定する仕組みはありません。したがって、再生手続きそのものは、非免責債権にあたることを主張する債権者が存在しない場合と同様に進行するものと想定されます。そして、再生計画の履行終了時に、債権者は残債務があることを主張してその支払いを求め、債務者は(再生計画案の認可決定確定により減額された後の債務を完済したことにより)残債務は存在しないことを主張して争うことで紛争が顕在化するのでしょう。
その場合、話合いで解決に至らなければ、法的措置で決着を付けることになります。具体的には、債権者が既に判決書等の債務名義を取得済みか否かにより、取得済みの場合は債務者が請求異議訴訟を提起し、取得済みでない場合には債権者が残債務の支払いを求める訴訟を提起して争うことになるものと考えられます。


